ディスポーザーとは?仕組み・種類・設置条件・メリットを徹底解説【生ゴミ処理機の基礎知識】

1. ディスポーザーとは何か
ディスポーザー(disposer)とは、家庭や業務用のキッチンにおいて発生する生ゴミ(食品残渣)を粉砕し、排水と共に下水へと流す装置の総称です。
一般的にシンク排水口に直結する電動粉砕機で、「生ゴミ処理機」「キッチンディスポーザー」とも呼ばれます。交換・設置・修理の需要も高く、マンション設備としての導入も進んでいます。
ディスポーザーの起源と歴史(発明から現在まで)
ディスポーザー(生ゴミ処理機)の歴史は、約100年前にアメリカ合衆国で始まりました。
その起源は、1927年、米国ウィスコンシン州の建築家であり発明家でもあった ジョン・W・ハムス(John W. Hammes) 氏による発明にさかのぼります。
ハムス氏は、「台所で生ゴミを手軽に処理できる装置を作って、妻の家事負担を軽減したい」という思いから、シンク下に取り付ける粉砕装置の開発に着手しました。
数年間の試作を経て、1938年に米国で初めての生ゴミ処理機「ディスポーザー(Disposer)」として製品化し、InSinkErator(インシンクイレーター)社を設立しました。
当初は米国を中心に普及が進み、第二次世界大戦後の住宅需要拡大に伴って一般家庭にも広く導入されるようになりました。
その後、カナダ・オーストラリア・イギリスなどにも広まり、1980年代以降には日本やアジア諸国でも導入が始まりました。
2. ディスポーザーの仕組みと構造
ディスポーザーは、以下のようなプロセスで生ゴミを処理します。
2.1 基本構造(主要コンポーネント)
• シンクフランジ:シンク排水口との接続部。
• 蓋スイッチ(バッチ式):蓋の開閉で運転ON/OFFを行う安全スイッチ。
• ジョイント部:フランジと粉砕室(ケーシング)を接続。
• 粉砕室(ケーシング):内部に**ターンテーブル/回転翼(回転刃)**等を備え、生ゴミを微細化。
• モーター部:回転体を駆動。
• 制御基板:回転・安全・給水の各制御を担う。
• 排出管(専用配管へ):粉砕物を水とともに搬送。
2.2電源・モーター・給水方式に関する技術的仕様
▪電源仕様とモータータイプ
現在市販されている家庭用ディスポーザーの多くは、**一般的な家庭用コンセント(AC100V)**に対応しており、特別な電源工事は不要です。
モーターには、静音性とエネルギー効率に優れたDC(直流)モーターを採用するメーカーが主流です。
DCモーターは始動時のトルクが高く、回転制御もしやすいため、安全性と耐久性にも優れています。
▪給水方式の種類と特徴
ディスポーザーの給水機能は、生ゴミの粉砕と排出に必要な水をどのように供給するかにより、以下の2つに大別されます。
1. 手動給水方式
利用者がキッチンの水栓を開いて水を流しながらディスポーザーを作動させる方式。
最も一般的で、構造がシンプル。ディスポーザー本体価格は比較的安価。
手動方式についての詳しい記事は☞こちら
2. 自動給水方式(水栓割り込み式)
ディスポーザーのスイッチを入れると、電磁弁の作動により自動的に給水が開始される方式。ディスポーザー本体価格も比較的高価。
水の出し忘れや節水効果が期待できる一方、電磁弁や分岐チーズ(T字継手)などの部品が必要となる場合があり、機構がやや複雑。自動水栓方式の場合は、電磁弁、分岐チーズ(T字継手)を要する場合があるので故障、交換の際は、実績が多い取扱店に確認してみるのが良いでしょう。
自動給水方式(水栓割り込み式)についての詳しい記事は☞こちら
3.自動給水方式(直接給水方式)
給水管から水栓と通さず、ディスポーザー本体へ直接給水される方式。
逆流を防ぐためバキュームブレーカーの設置が必要。新規取付時にはキッチン天板やシンクの加工が必要になる。
自動給水方式(直接給水方式)についての詳しい記事は☞こちら
2.3粉砕方式の種類と特徴



1ハンマーミル方式
国内外のメーカーで広く使用されるもっとも一般的な粉砕方式。
安永、テラル、フロム工業などがこの方式を採用しています。
2チェーンミル方式
可動域を持ったチェーンが回転し粉砕する方式。
Panasonic、現行機種ではニッコーの製品に使われています。
3ブレード方式
ブレードが回転して生ごみを粉砕する方式。
MAXが採用している方式です。
給水方式や粉砕方式をまとめた記事は☞こちら
2.3処理手順(基本フロー)
- シンクに生ゴミを投入
- 水道水を流しながらディスポーザーを作動(スイッチON)
- 生ゴミが高速で粉砕・微細化される
- 粉砕物が水とともに排水管へ流れる
3ディスポーザーの種類と分類
連続投入式(Continuous Feed Type)とバッチ式/蓋スイッチ式(Batch Feed Type)です。
それぞれにメリット・注意点があります。
3.1 連続投入式(Continuous Feed Type)
〇生ゴミをスイッチオンの状態で連続的に投入可能
〇操作が簡便で処理スピードが速い
×誤投入によるリスクがあるため注意が必要
3.2 バッチ式/蓋スイッチ式(Batch Feed Type)
〇誤作動や巻き込み事故の防止:蓋が完全に閉まっていなければ、モーターが作動しないため、使用者の手や異物が巻き込まれるリスクが低い
〇独立した壁スイッチが不要:蓋がそのままスイッチの役割を果たすため、別途スイッチの設置・配線工事が不要
〇誤作動・巻き込み事故の抑制に有効で、安全性が高い。
×処理ごとに操作が必要
4日本におけるディスポーザーの導入実態と管理体制
4.1 設置状況:新築マンションでの初期導入が中心
日本国内におけるディスポーザーの設置は、主に新築分譲マンションを中心に普及が進んでいます。
多くのケースで、建物の設計段階からディスポーザーの導入が計画されており、専用の排水処理システムが組み込まれています。
このようなマンションでは、以下のような構成が一般的です:
ディスポーザー本体:各住戸のキッチンに設置
専用配管:粉砕された生ゴミを専用処理槽まで運ぶ排水管
ディスポーザー排水処理槽:敷地内に埋設され、複数住戸分の排水を処理
このような構成により、生ゴミを衛生的かつ環境に配慮して処理できる集合住宅インフラが実現されています。
4.2 管理区分(専有/共用)
ディスポーザー設備は、住戸ごと・マンション全体のいずれに関わるかで、管理の責任範囲が明確に分かれています。
管理対象 管理主体
ディスポーザー本体(住戸内) 各住戸の所有者(専有部)
専用配管・処理槽(共用部) 管理組合または管理会社
つまり、住戸内の本体トラブルや交換・修理については、原則として所有者の責任で行う必要があります。
一方、排水処理槽や共用配管のメンテナンス・保守は、管理組合の管理下で実施されるのが通例です。
⚠ 管理区分の確認が重要です
ディスポーザーに関連するトラブルや修理を行う際には、所有者が対応すべき範囲か管理組合に相談すべき共用設備に関わるかを明確に把握することが重要です。
分譲マンションにお住まいの方は、管理規約や長期修繕計画を確認することで、正しい対応が可能になります。
5・ディスポーザー排水処理システムとは
5.1「ディスポーザー部」
一般的にディスポーザーとはキッチン下の生ごみを粉砕する機械を指しますが、このディスポーザー単体での設置はほとんどのケースでできません。ディスポーザーで生ごみを粉砕しただけでは一般下水道に流せないからです。ディスポーザーで非常に細かく粉砕しても水に溶けて液体になるわけではないからです。キッチンディスポーザーから排出されるのは粉砕された生ごみと水というわけです。
ディスポーザー部では漏電、騒音、振動に対して適切な措置をとり、使用者の安全と快適使用できる機能を有すること。続く排水配管部で詰まりや排水処理部で水質悪化を招くことのない粒度と水量を確保することが必要となります。
5.2「排水配管部」と「排水処理部」
そこで必要になるのが専用排管と専用排水処理槽です。
専用排管は、細かい固形物を含んだ排水をしっかり流せるように計算された排水勾配となっています。これを通って専用処理槽へと運ばれます。ここでは続く排水処理部へ搬送できる機能を有していなければなりません。下水道法、建築基準をはじめとする法令、関係基準などを順守する必要があります。
排水は専用処理槽で様々なバクテリアにより段階を経て分解され、一般排水に流せるレベルまで処理されます。
つまり生ごみを処理する「ディスポーザー部」ディスポーザー部からでる排水を搬送する「排水配管部」そして、一般下水道へ流すための処理を行う「排水処理部」の3部構成となります。
規格適合型式(製品)の一覧(排水処理部)令和7年7月1日現在
DS TR001 株式会社LIXIL
DS TR002 テラル株式会社
DS TR003 ニッコー株式会社
DS TR004 株式会社ダイキアクシス
(公益社団法人日本下水道協会HPより規格適合型式(製品)の一覧(排水処理部)令和7年7月1日現在より)
6.日本の主要ディスポーザーメーカーと製品
6.1ディスポーザーメーカー





日本国内で生産されるディスポーザー清掃メーカーは、日本の設置環境(生活環境)を配慮し、安全性や静音性を重視するのもを中心に製造、販売されている。
テラル株式会社(TERAL)、安永エアポンプ株式会社・ニッコー株式会社・MAX株式会社・株式会社フロム工業・東浜商事株式会社
(公益社団法人日本下水道協会HPより製品認証取得者等の一覧(ディスポーザ部)令和7年4月20日現在より)
6.2現在生産されている主なディスポーザーメーカーと製品名
▪安永
YD131、YD131A
▪フロム工業
YS-8100、YS-7000L、YS-7000LB、YS-7500L、YS-7300L
▪ニッコー
NKD-133
▪MAX
GD-B181M、GD-B181F、GD-B181A、GD-B182シリーズ
▪テラルTERAL
DSP-75Tシリーズ、DSP-250HDシリーズ
6.3これまで生産された主なディスポーザーメーカーと製品名
▪LIXIL(INAX) リクシル(イナックス)
DPF T-MS エルポ、DPF T-MP エルポ、DPF T-AS エルポ、DPF T-AP エルポ、
BNF-100 ランドミル、DPG minipo、DPH ランドミルHG・MG、DPH2 ランドミルHG2、DPHK 快速くんHK、DPKT 快速くんMK、DPM2 ランドミルMG2、DPMK 快速くんMK、DPPG ランドミルPG、DPPG2 ランドミルPG2、DPPG2 ランドミルPG2、
Minipo、MK3 快速くん、ランドミルDPR
▪Panasonicパナソニック
KD-131、KD-132、KD-133、KD-252、KD-255
▪テラル
DSP-250H、DSP-100H、DSP-125H、DSP-125H-AWS、DSP-250HD-AWS、DSP-100H-AWS、DSP-250SB、DSP-250SB、DSP-250SBS、DSP-125H-AWV
▪TOTO
NJD200L、NJD200R、NJD202、NJD202L、NJD202R、NJD212L、NJE100、NJE200、NJE200L、NJE210、NJE210、NJE500、NJE500、NJE600、NJF212、NJH171001、NJS100、TJNDE100V1、TOTO NJE212
▪積水化学工業 セキスイ
6400L、DSPOSER SF、SF6000、SF6000L、SFH7000、SFH-7000/7400
▪新明和工業
DH150S、DH150SW
▪日本ゼスト
ZH-1
▪セコムディスポーザー
STS002、STS003
7.ディスポーザーの5大メリット
• キッチンを清潔に保つ(悪臭・害虫の抑制)
• LD空間の快適性(臭いの拡散を抑制)
• 可燃ゴミ削減(共用ごみ置き場の省スペース化)
• 環境負荷の低減(焼却負荷・CO₂排出の抑制)
• 衛生的な暮らし(生ゴミの滞留を減らす)
まず、調理後に生ごみを瞬時に粉砕処理するため、悪臭や害虫の発生を防ぐのは大きなメリットです。またゴミ出しの頻度や量を減らすことができるのもディスポーザーのメリットになります。さらに家庭から出るゴミの量自体が少ないということはマンションの共用スペースの省スペース化にもつながっています。
環境負荷軽減の側面からも大きなメリットがあります。家庭のディスポーザーからでた排水は専用配管を通ってディスポーザー専用処理槽で生物分解されます。処理槽で分解された排水は一般的な排水よりもきれいな状態で排出することができるのです。
また、ディスポーザーシステムは水質とは違った観点でも環境負荷軽減に貢献しています。
家庭における可燃ごみのうち、生ごみは約半分を占める調査結果があります。水分を含んだ生ごみは焼却処理に大きな負荷をかけるものです。
つまり、ディスポーザーで生ごみを処理するということは、焼却処理時に発生する二酸化炭素の抑制につながるのです。
さらに生ごみの水分による不完全燃焼ではダイオキシンが発生します。家庭で生ごみをディスポーザーで処理することはこのダイオキシン抑制にもつながっているのです。
※環境省「地方自治体における廃棄物処理の現状と取組」https://www.env.go.jp/content/900529459.pdf
わたしたちディスポーザージャパンでのSDGsへの取り組みの記事は☞こちら
8.ディスポーザーのデメリットと注意点
■ランニングコストがかかる
ディスポーザを毎日3回お使いいただくと仮定した場合でも、電気代は1ヶ月12円前後、水道代は1ヶ月150円前後。(安永エアポンプ株式会社HPより)
■共有部の維持管理
専用配管の点検、処理槽の点検、メンテナンスを実施するための費用。(通常マンションの管理費や共益費に含まれている)
■配管清掃をしなければならない
1~2年に1度ほど排管つまり衛生面の配慮をし、配置洗浄を実施する必要がある。マンションでは配管の高圧洗浄が定期的に行われている場合がほとんどです。
■粉砕するときに音がする
モーターが動くときに粉砕するタイミングで音がする。ただし粉砕音は古い機種に比べて非常に静かになっており、中には通常の会話レベルといわれる「58デシベル」を実現したディスポーザーもあります。
9.マンション設備としてのディスポーザー
マンションの設備として人気の高いディスポーザーは、建設時にディスポーザーシステム(専用配管、専用処理槽)を組み込んだ計画がされています。特に分譲マンションで高い導入率となっていますが賃貸マンションでも導入されるケースが増えてきました。
小規模マンションで導入されているケースもありますが、そのほとんどが大規模あるいはタワーマンションとなっています。導入コストの面から高価格帯のマンションに導入されている設備だといえます。
ディスポーザーはそのほとんどがマンションに設置されているため日本ではとくに静音性が重視される傾向にあるようです。
10・戸建てへのディスポーザーの設置について
戸建ての場合は、敷地内に専用処理槽を埋設しなければならないため非常に数は少ないです。各自治体で下水処理施設を整備し、戸建でもディスポーザー単体でも導入できる地域もありますが、そのような地域は非常に限定的です。
ほとんどの自治体では、ディスポーザー単体での設置はしないよう呼びかけをしています。
つまり戸建てに設置する場合は、ディスポーザーは専用配管および専用処理槽を含んだ「ディスポーザーシステム」として導入する必要があります。これから戸建でディスポーザーを導入する場合は法令や条例に適合するかの確認が必要となりますので、管轄する自治体に一度確認されることをお勧めします。
戸建てへの設置を含む新規設置・取替え・撤去についての詳しい記事は☞こちら
11・ディスポーザーに「入れてはいけないもの」
ディスポーザーに入れてはいけないものは、【ディスポーザーで粉砕できないもの】とディスポーザーで粉砕はできるがその後の【排管や処理槽に悪影響が出るもの】の2つの場合があります。
つまり「ディスポーザーで粉砕できる」=「ディスポーザーに入れても良い」ではない点に注意が必要です。
例えば繊維質の強いものは、ディスポーザーでは処理できても繊維が溶けてなくなるわけではありません。繊維質は排水管に溜まり排水不良を引き起こす原因となります。また処理槽でも生物分解ができず排水処理に大きな負荷がかかります。
また、卵の殻はもろいのでディスポーザーで粉砕するのは簡単です。しかし比重が重いためその後の配管で流れず蓄積してしまうことが問題になるのです。
—ディスポーザーに入れてはいけないもの具体例—
▪金属類、ガラス類、陶器類、技師類、石、砂
スプーン、フォーク、王冠、プルトップ栓、コップ、瓶の破片、食器類
▪強い繊維質のもの
タケノコの皮、パイナップルの芯や皮、トウモロコシの皮、栗の皮、枝豆のさや、生花、花の芯など
▪固い生ごみ、処理が難しい生ごみ
カニ類の殻、鯛、牛、豚、鶏の大きな骨、かぼちゃ、柿や桃などの硬い種
▪柔らかく弾力のあるもの
大量の炊いたお米、生魚の皮、鶏の皮、タコやイカ
▪流れにくいもの
卵の殻、生米、玉ねぎの皮など
▪生ごみ以外
割りばし、プラスチックや発泡スチロール、竹串、楊枝、輪ゴム、包装紙やラップ、紙類、ビニール、針金、たばこの吸い殻など
▪高温のもの
大量の熱湯
▪油脂を多く含むもの
大量の生クリーム、マヨネーズ、食用油など
▪薬品
酸性洗剤、アルカリ性洗剤、防臭剤など(生物処理に悪影響)
ディスポーザーに入れてはいけないものについての詳しい記事は☞こちら
12. よくある質問
Q1. ディスポーザーの交換時期の目安は?
A. 使用環境にもよりますが7〜8年が目安。異音・漏水・起動不良が出たら点検・交換をご検討ください。
Q2. 連続投入式と蓋スイッチ式、どちらが良い?
A. 処理スピード優先なら連続投入式ですが、安全性・誤作動防止を重視するなら蓋スイッチ式が適しています。
Q3. 戸建てでも設置できる?
A. 自治体により扱いが異なります。原則は専用配管+処理槽を含むシステム導入が必要。必ず事前確認を。
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